資料 14 粘度コントローラーの原理 (2)
(資料 5の続き)
以前のブログ記事、資料5 粘度コントローラーの原理は
下記をクリックしてご参照ください。
資料5 粘度コントローラーの原理の記事で、
粘度コントローラーへ一定エア圧力の供給条件下で、
インク粘度が高くなると → ポンプの脈動数が少なくなります
ポンプの右左への運動が遅くなる。
インク粘度が低くなると → ポンプの脈動数が多くなります
ポンプの右左への運動が速くなる。
これらの条件とダイアフラムポンプの性質が、ダイアフラムポンプタイプ
粘度コントローラーの原理の基本中の基本。
故に、高精度なダイアフラムポンプ式粘度コントローラーを、
製造メーカーとして開発製造できるかは、
①基本中の基本の項目に対する、正確な論理的理解
②高精度な粘度コントローラーの精度を発揮できる
粘度コントローラーの基本的付帯条件の認識と、
高精度を達成できる解決策の策定、及び開発。
上記の①と②の両方が無ければ、高精度の粘度コントローラーを
開発製造する事は出来ないと言っても、決して言い過ぎではない。
いきなり、原理から現実的かつ実践的、かつ高度な結論を先に
出した事には理由があります。
それは、このブログ記事を読まれる方は、殆どが粘度コントローラーを
実際に自分たちで使用するユーザー様であると仮定しています。
このように粘度コントローラーの機械そのものに特化したブログ記事は、
業界に関係ない人や一般の人たちにとっては、何ら興味も関心も
示すことが無い話題です。
であるならば、関係するユーザー様に、少しでもお役に立つ記事を
提供する事だけが、 ” たかが粘コン、されど粘度コントローラー ’’
の唯一の存在意義と存在理由になる訳です。
さて、上の①と②の項目ですが、
アジア市場に上市されている粘度コントローラーの製造メーカーさんの、
殆どは、 ①の項目の表面上な理解だけであると思われます。
まして、 ②の項目まで深く追及している粘コンメーカーさんを
見つける方が難しいくらいとも言えます。
(ダイアフラムポンプタイプ粘度コントローラーの製造メーカーについてです)。
では、順に例を挙げながら説明していきます。
基本中の基本条件と項目を、表にまとめました。
(ブログ英語版でも使えるように日本語/英語表記にしました。)
グラビア印刷のグラビアインクと仮定して説明します。
(ドライラミネーションの接着剤も同じです)
増粘の場合 (濃くなる場合)
インクの粘度が上がると(濃くなる)、ダイアフラムポンプへの負荷が
大きくなり、ダイアフラムポンプの脈動(左右へのピストン運動)が
遅くなります。
減粘の場合 (薄くなる場合)
インクの粘度が下がると(薄くなる)、ダイアフラムポンプへの負荷が
小さくなり、ダイアフラムポンプの脈動(左右へのピストン運動)が
速くなります。
上記について、粘度コントローラーの製造メーカーのみならず、
使用されている日本アジアのユーザー様もこの20年で認知も
されている知識だと思います。
ユーザー様はここまでで大丈夫ですが、高精度な粘度コントローラーを
製造販売するメーカーは、これだけの知識に留まっていても、
ユーザー様を満足させる粘度コントローラーを製造する事は出来ません。
(粘度精度が高精度で、尚且つ、高耐久性の粘度コントローラーを
ユーザー様に提供する為に)
ここで、お客様の所へ訪問して、目にしたり、質問されたりすることが
よくある事象を通して話を進めます。
㋐ 粘度コントローラーの置いてある位置と、インク皿(トレイ)まで
距離が4メートルあるので、粘度コントローラーの吐出ホースを
標準2.5メートルから、4メートルに勝手に変更して粘コンを使用。
㋑ 粘度コントローラーの置いてある位置と、インク缶(タンク)まで
距離がすぐ横で近くなので、粘度コントローラーの吸入ホースを
標準2.5メートルから、1メートルに勝手に変更して粘コンを使用。
㋒ 粘度コントローラーの吸入ホースと吐出ホースを、1年から2年毎に
必ず新品に替えて粘コンを使用。2種類のホース径のホースを
自社で在庫するのも無駄が多くなるから、1種類のホース径の
ホースに統一。
即ち、粘度コントローラーの吸入ホースと吐出ホースを変更して
同一サイズの1種類のホース径に変更して粘コンを使用。
2003年の前職時代から粘度コントローラーの販売を海外のお客様向けに
始めた私。
2003年から、そしてViscon Japan㈱を創業して日本・海外に粘度コントローラー
販売している現在でも、上記㋐㋑㋒のような質問や、私がお客様の
工場の現場で未だに頻繁に遭遇する事です。
私が一番驚くことは、上記㋐㋑㋒について、正しいアドバイスを
お客様(ユーザー)に間違いを指摘し、正確にお客様の為に
説明できる粘度コントローラーメーカーが海外では
殆どいない事です。
上記㋐㋑㋒は、全て間違いです。
基本中の基本と書いた①と②に対する理解が浅い
粘度コントローラーメーカーさんでは、上の㋐㋑㋒が
何故いけないかの本当の意味まで理解していないからです。
①基本中の基本の項目に対する、正確な論理的理解
②高精度な粘度コントローラーの精度を発揮できる
粘度コントローラーの基本的付帯条件の認識と、
高精度を達成できる解決策の策定、及び開発。
まず、㋐㋑㋒が何故間違いかを説明いたします。
ダイアフラムポンプは、粘度が上がると遅くなる。
粘度が下がると速くなる。
この事だけでは、高精度の粘度コントローラーを製造する事が
出来ません。
上の㋐㋑㋒を間違いであると、論理的に正確に認識している
海外の粘コンメーカーは1社も無いとも私は経験的に言えます。
ダイアフラムポンプの特性、即ち、
粘度上がる ⇒ ポンプ遅くなる
粘度下がる ⇒ ポンプ速くなる
これらがグラビア印刷をしている時に精度も良く検知される
必要があります。高精度な粘度コントローラーである為には。
この点まで思考を継続させている海外粘コンメーカーさんは皆無。
何故なら、そもそも日本製の粘度コントローラーの外観だけを真似て
製造して、価格訴求のみで販売する事が彼ら(海外の粘度コントローラー
製造メーカー)の商売原則だから。
答えを探すために、基本をみっちり勉強して、求める目的に対して
或る仮定を立てて、実験開発するというのは、彼らにとって、
ただ面倒くさいだけ。
外観だけ似せて真似て作る事が、彼らの開発概念。
むしろ、時間をいちいちかける事は、スピード感の無い良くない仕事。
この開発に関する考え方の基本的・先天的?違いが、
逆に品質を誇る日本式製造開発の素晴らしさを世界で際立たせている
理由でもあるが。
私の感覚で言えば、日本式製造開発は、機能・品質第一で
お客様目線での開発製造するという”羅針盤を持った外洋航海”。
一方、海外の彼らは、
とにかく外観だけが似たようなもの安く価格訴求でお客に売りつける
という顧客不在の ’’確かな羅針盤を持たず、広い海原でも目先の見えるもを
頼りに航海するようなもの。’’
手っ取り早く真似して、答えを出せるどうか解らない冒険は
無駄と考えている。
(関連する内容を下記の記事にも書いてあります)
関連記事
👉👉 Viscon Japan ブログ(日本語版)開始
基本中の基本、および関連付帯事項に対する理解・認識
何故、粘度コントローラーの吸入ホースと吐出ホースの
ホース径は違うのか?
粘度コントローラーモデル VIS-10 のホース径と長さ
吸入ホース 12 x 8mm 2.5 メートル
吐出ホース 10 x 6.5mm 2.5 メートル
答え
① 粘度コントローラーという機械は、各ホースの先まで
機械である。
ホースは単なる付属物ではありません。
② 高精度の粘度コントローラーを提供する事が
粘度コントローラーメーカーの責務・使命です。
故に、高精度に検知できる環境を粘度コントローラー
に創り出して装備。
それが、上のスペックのホース径と長さです。
だから、上で述べた ㋐㋑㋒は間違いなんです。
高精度に粘度コントローラーが機能する条件を
崩しているからです。
また、粘度コントローラーを使用するお客様(ユーザー様)
にとっても、㋐㋑㋒は高精度の粘度管理を出来ないという
不利益を被る事にも等しいのです。
私達の日常生活でも、これらと似たような事を理解できる例があります。
イラストの説明
1.同じサイズの容器に飲み物を入れます。
左の人 : 水 (粘度が低い)
右の人 : シェイク (粘度が高い)
2.使用するストローは径も長さも同じ。
このような設定でストローで飲み物(水 または マックシェイク)
飲む場合、
’’ どちらが(水かマックシェイク)がストローで吸って
飲むのが楽ですか?’’
と私が問いかけると、皆が自信をもって答えてくれる。
’’ 水 ” です。と。
これで説明を聞く皆さんも、なんとなく、ダイアフラムポンプが、
粘度上がる ⇒ ポンプ遅くなる
粘度下がる ⇒ ポンプ速くなる
というダイアフラムポンプの特性を理解できる。
そして大事なのは、次の質問です。
では、今は使用するストローの径も長さも同じにしてますが、
2-1 もし、 長さが同じで、同じ飲み物で
ストローの径を大きくしたらどうなりますか?
2-2 もし、 長さが同じで、同じ飲み物で
ストローの径を小さくしたらどうなりますか?
2-3 もし、 ストローの径が同じで、同じ飲み物で
ストローの長さを長くしたらどうなりますか?
2-4 もし、 ストローの径が同じで、同じ飲み物で
ストローの長さを短くしたらどうなりますか?
やはり、書く前から予想していた通り、長い記事になってしまいました。
まだ説明しなくてはいけない項目がありますので、続きを
別の記事にします。 資料15 粘度コントローラーの原理 (3) へ
下をクリックして下さい。
続きの記事に 上の 2-1,2-2、2-3、2ー4の答えから
書き始めます。
自社で使用の粘度コントローラーについてのご質問(精度、故障、修理)、
DX化、集中コントロール化についてのご質問、
このブログの記事についてのご質問、
現在ご使用中の粘度コントローラーについてお困りの事、等々
その他、今後導入していきたい自社に適合した粘度管理システム等、
お気軽に下記の お問合せ/コンタクト からお問合せください。
(他社製粘度コントローラーをご使用中のお客様からのお問合せも大歓迎!!)
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